yoshimi yoshimoto on Instagram: "わたしの好物のひとつ、まぐろの赤身。家で、街場で、時々味わいます。 まぐろは、江戸前寿司を語るうえで欠かせない存在です。しかし、江戸時代初期のまぐろは実は「下魚（げうお）」とされ、庶民にしか好まれませんでした。脂が多すぎる「トロ」の部分は「猫またぎ」と呼ばれ、猫でさえまたいで通るほど不人気だったといいます。落語にも、魚河岸の喧嘩や寿司屋の笑い話が多く登場しますが、その中で「まぐろ」は必ずといっていいほど庶民的な存在として描かれます。 江戸の町には屋台寿司が立ち並び、せっかちな江戸っ子たちが立ち食いでぱくっと頬張る光景が広がっていました。彼らにとってまぐろの赤身は、さっぱりとして粋な味。川柳にも「まぐろのすし 銭の続く限り食い」という句が残っています。落語『寿限無』の長い名乗りの合間に、屋台で一貫だけつまむ江戸っ子の姿を想像すると、まぐろはまさに江戸の風物詩だったといえるでしょう。 わたしの母は、そんなまぐろを心から愛していました。伴侶つまりわたしの父を亡くした後に始めた鶏割烹を切り盛りする日々の中、閉店後にようやく自分の