日本では、2007年の最低賃金法改正以降、最低賃金が継続的に引き上げられてきた。とくに2016年以降は、全国平均毎年約3%のペースで引き上げが行われ、最低賃金政策は所得分配や生活保障の観点から重要な役割を担っている。一方で、最低賃金の引上げが企業の生 ...
近年、企業のマークアップ(価格と限界費用の比率)の上昇と、それに伴う競争の低下やビジネス・ダイナミズムの停滞が、米国や欧州を中心に大きな政策的関心を集めている。実際、海外の研究では1980年代以降、企業のマークアップが上昇し、市場支配力の強化や産業集 ...
具体的には、AI技術開発の開始前後に、一時的な生産性の低下がみられ、その後に生産性が上昇する傾向がある。この動きは、新しい技術を導入する際に必要となる試行錯誤や業務プロセスの見直し、データ整備や人材配置の調整といった「調整コスト」を反映している可能性がある。一方で、生産性が変化している企業がAI技術開発を選択している可能性も否定できない。重要なのは、AI技術開発が「即効性のある生産性向上策」ではな ...
その昔、知人から、ある国立大学付属高校では、教育効果を検証するために双子を入学させていることを伺った。同じ親の同じ受精卵から生まれた人であれば、遺伝子効果は等しいと仮定でき、いずれかに何らかの教育を施して比較すれば、遺伝子効果を除去したうえで教育効果 ...
法人税は利益に課税するため、重い税負担は成長企業の活動を妨げる可能性がある。一方で、減税は税収ロスを生み、政府活動を制限する。そのため、多くの先進国の法人税改革は、税率の引き下げと課税ベースの拡大によって行われてきた。細野薫RIETIファカルティフェロー、布袋正樹大東文化大学教授らは、2015~2018年度に段階的に実施された日本の法人税改革(法人所得税率引き下げや繰越欠損金控除の縮小、付加価値・ ...
ロンドンが国際金融都市の座を維持し続けた背景に、海外からの資本と人材を惹きつけるコスモポリタニズムがあります。大陸欧州諸国が排他性を伴う厳格な規制を維持したのに対し、ロンドンは外国人による土地と資産所有の規制が極めて緩やかであり、金融と貿易の両分野において才能のある移民の受け入れに寛容でした。このロンドンの「グローバルレベルの知識と資本の積極的な誘引戦略」が、ロンドンの金融市場を特定の国家や通貨の ...
2025年10月に国際通貨基金(IMF)が公表した「世界経済見通し(WEO)」によると、世界経済は米国の関税引き上げや各国の政策転換によって不確実性が高まり、前半こそ一時的な要因によって支えられたものの、その効果は徐々に薄れていると評価された。保護主義や労働供給ショック、財政・金融の脆弱(ぜいじゃく)性など下方リスクが懸念される中、政策担当者には透明性と持続可能性、構造改革の強化が求められている。
円安是正に向けた目安としては、表にあるような、貿易財とみられる耐久消費財や資本財の購買力平価が参考になるかもしれない。ことしの日本経済及びマクロ経済政策においては、真の「正常化」に向けた動きや取り組みが進むことを期待したい。
世界貿易機関(WTO)は1995年の設立以降、貿易に関するさまざまな国際ルールを定めてきたが、2010年代以降はドーハラウンド交渉が止まり、紛争解決における上級審役割を持つ上級委員会が機能停止して、「WTOは死んだ」という声も聞かれる。近年はトランプ関税等の措置がWTO協定の基本原則を蔑(ないがし)ろにしているようにも見えるが、米国を含む各国はWTO協定を基礎に自国の政策を正当化するロジックを作り ...
RIETIはIZAのウェブサイトにRIETIのコラムを掲載することを通じ研究成果をより国際的に発信していくとともに、IZAのコラムをRIETIウェブサイトにも掲載して海外の主要な論調を紹介し、政策議論へ貢献していきます。
一般に成長戦略では、経済成長率を高めようとする政策メニューが並ぶが、成長率を押し下げる要因を取り除く視点は看過されがちだ。一例が政府規制で、規制や税・社会保障制度などのルールへのコンプライアンスのため、総労働時間の2割近くが投入されている。いわゆる社会的規制を中心に許認可数は年率2〜3%で増加し、潜在成長率を下押ししている。労働時間規制の緩和が議論されているが、供給力に寄与しない労働投入を削減でき ...
しかしその前提となる日本の財政環境は極めて厳しい。一般政府債務残高は国内総生産(GDP)比で240%前後と主要先進国の中で突出して高い。これほど大きな債務を抱えつつも日本は長年、低金利を維持してきた。しかしその環境も変わりつつある。