『少年日本史』という本がある。1970年11月時事通信社から刊行された。その後、皇學館大学出版部から同名で、また1979年には講談社学術文庫の一冊として『物語日本史』と改題の上で刊行されたこの本の著者は平泉澄である。1895年2月生まれの平泉は、1970年11月当時ですでに75歳、「児孫への最後の贈物、つまり遺書」のつもりで書いたとは本人の弁である(講談社学術文庫版、上巻「序」、5頁)。平泉が没し ...
幕末から昭和にかけて日本史を彩った「茨城人」たちに光を当てる東京新聞茨城版の連載「近代茨城の肖像(ポートレート)」。茨城県立歴史館(水戸市)で2024年3月まで首席研究員を務め、現在は学習院大学史料館の客員研究員でもある石井裕・県近現代 ...
遊就館(東京都千代田区)は、近代史に特化した戦争博物館だ。近現代史研究者の辻田真佐憲さんは「この施設で示されている歴史観には気になる点がある。例えば、『満洲事変とその後』と題された解説パネルでは、日本側の積極的な行動という側面が ...
攘夷家・池田長発の世界観の劇的変転 文久3年(1863)12月から半年間、池田長発は遣欧使節団の全権としてパリに渡った。そして、横浜鎖港談判を行なったが、まったく相手にされずに帰国せざるを得なかった。結果として、使命を果たすことが出来なかっ ...
万国博覧会(万博)は19世紀に欧米で始まった。その時代の最新技術や芸術が紹介され、国際ビジネスの舞台となった。本書は幕末から万博に参加した日本が外貨獲得のため茶を米欧に売り込み、「茶道」を世界に広めた歴史を描く。 日本は1867年パリ万博で ...
今日では、結核という病が話題になることは少ない。だが、戦前期や戦後初期には、結核は死因の第一位から三位を占める深刻な国民病だった。感染を広げないよう、発症した患者は隔離されることも多かった。一般社会から切り離され、死に向き合わ ...
歴史上には様々なリーダー(指導者)が登場してきました。その なかには、有能なリーダーもいれば、そうではない者もいました。 彼らはなぜ成功あるいは失敗したのか?また、リーダーシップの 秘訣とは何か?そういったことを日本史上の人物を事例に ...
今なお緊迫した状態が続いている中東情勢。かつてヨルダンの日本国大使館で専門調査員を務め、現在日本女子大学教授の臼杵陽さんは、今の中東情勢の発端となった近代化の過程において、実は日本との共通点は少なくないと言います。それでは、何が ...
経済史の学術書といえば、門外漢には数値・数式・図表ばかり、複雑難解・無味乾燥と感じることも少なくない。そんな中で、著者の描き出す企業経営史は、あくまで人間の歴史にある。固有個別の人名を特筆し生涯を跡づけ、その個性をさぐり事業を精細 ...
ラムネ瓶の中でキラキラ輝き、カラコロと音をたてるビー玉は、清涼感を与えてくれる。私はビー玉に魅了されて収集を始めて約30年。日本のビー玉の意外な産業史に注目し、海外の愛好家が交流するフォーラムで情報を発信している。国内では珍しい ...